20代・30代は結婚・子育てで忙しくなりやすい時期で、看護師の離職も増えやすい年代です。
忙しさが一段落した方は、次のような悩みを持つこともあるはずです。
- 現場に復帰したいけどブランクがあって不安
- 現場から離れて長いからどこに就職すればいいかわからない
このような悩みを持つ方でも、ブランクを気にせず働ける職場はあります。
現場から長く離れていると知識、技術に不安を感じる方も多いでしょうが、看護師の復職を支援するサポートも実は存在します。
近年の新型コロナウィルスの影響により、多くの病院・施設では人手が足りず、潜在看護師の需要は以前よりも増している現状です。
今回はブランクのある看護師でも転職、再就職をしやすい職場、復帰前にどのような準備が必要となるのかを解説します。
ブランクがあっても看護師としてのキャリアを活かしたい方は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。
看護師はブランクが長くても再就職しやすい

まず多くの方が心配することとして、「ブランクがあっても雇ってもらえるのか」という問題があります。
結論から言うと、「ブランクがあっても看護師を求めるところは多い」です。
なぜかいうと、どこの病院・施設でも慢性的な看護師不足で深刻な状況だからです。
ブランクが長く、知識や技術に不安があっても現場に復帰すれば、最初は大変でもいずれは以前の感覚を取り戻せます。
ブランクがあるからという理由で、貴重な人材を逃してしまうことは病院側にとっては大変な損です。
中には求人条件の項目に「ブランクOK」の文言が入っていることもあり、潜在看護師の需要は非常に高いことがわかります。
そして何より、看護師の業界は知識や技術だけでなく、積んできた経験が重視される業界です。
例えば、次のような看護師がいた場合、採用されやすいのはどちらでしょうか。
- Aさん:看護師歴2年で内科系病棟勤務経験あり、ブランク5年
- Bさん:看護師歴6年で手術室、内科系病棟、透析室の経験あり、ブランク5年
もし同じタイミングで求人に応募してきたなら、採用される可能性が高いのはBさんです。
ブランクが同じ期間であっても、Bさんには多くの経験があり、復帰後に幅広い分野で活躍することが期待できます。
つまり、ブランクの長さは転職、再就職での不利な要素としては働きにくく、それほど心配する必要はありません。
それでも不安な方は、ブランクがあっても働きやすい職場を選んで転職、再就職してみてください。
ブランクのある看護師におすすめの復職先

ブランクが気になる人でも働きやすい、おすすめの職場はどこがあるのでしょうか。
看護師は色々なところで引く手あまたの存在ですが、その中でもおすすめの職場を紹介します。
- 慢性期病棟・回復期病棟
- クリニック・診療所
- デイサービス等の介護施設
- 健診センター
- 透析室
上記の職場が復職するならおすすめです。
慢性期・回復期病棟
慢性期病棟は復帰してすぐに勤めるなら適した職場です。
他の病棟に比べて患者の状態が安定しており、急変対応や目まぐるしい業務が起こりにくく、じっくりと患者一人ひとりに関わりやすい特徴があります。
復帰して間もない頃は、知識・技術にはどうしても不安を抱えやすいため、業務がルーチン化している慢性期病棟は安心です。
また、回復期病棟は入退院のサイクルが早く、慢性期病棟ほどでないにしても、状態も比較的安定しています。
患者は退院までのスケジューリングがされていることが多く、段階に応じて必要な処置が決まっていることも多いです。
そのため知識・技術に不安がある方でも、退院までにどのようなステップを踏んでいくのか、予習がしやすいのが特徴です。
患者の入退院サイクルが早い分、色々な患者を受け持つこともでき、キャリアアップに繋げることもできます。
以上のことから、慢性期病棟と回復期病棟は復職する看護師にとってはおすすめの職場です。
クリニック・診療所
クリニックや診療所も復職する際のおすすめ就職先です。
クリニックは多くの内部施設が小さく、動線が少ないため、看護師同士の連携を取りやすくなっています。
多くのクリニックでは入院施設を設けていないため、日勤のみ、土日祝日は休みとしているところが多いです。
育児と仕事、私生活とのワークライフバランスを考えると、クリニックはおすすめの復職先です。
ただし、多くのクリニックや診療所には小規模ならでは注意点もあります。
クリニックによっては患者数が膨大になり、病棟勤務以上にハードな業務となる可能性があることです。
復職して間もない間は知識、技術、体力的にも余裕を持って仕事をしたいと考えるなら、クリニックについてよく調べてからにしてください。
デイサービス等の介護施設
デイサービス等の介護施設も復職先としておすすめの選択肢です。
介護施設は医療的な処置や看護技術を求められる場面が少なく、主な業務はバイタルチェックや利用者との交流です。
特にデイサービスは平日日中のみ利用者が集まるので、土日祝日や夜間は休みになります。
ブランクのある看護師でも問題ないかチェックする必要こそありますが、知識・技術に不安がある方でも介護施設はおすすめです。
ただし、介護施設にも注意すべき点はあります。
勤務中は自分1人しか看護師がいないことも多く、利用者に体調不良が起きたとしても自力で判断し、対処しなければなりません。
1人で判断する自信がない、責任の大きさが負担になるようならあまり向いていないでしょう。
介護施設によっては復帰者へのサポート体制も充実しているので、どのようなサポートが受けられるかチェックしてみてください。
検診センター
検診センターは企業の健康診断や人間ドックを行う施設です。
看護師がする主な仕事は検査、採血、問診などの医療行為の補助で、特別な知識や技術は不要です。
知識・技術に不安がある方でもすぐに業務に取り掛かりやすく、医療行為がないため命を預かる重い責任も生じにくい特徴があります。
また、土日は休みになる検診センターが多く、日勤のみの勤務となるため生活リズムも取りやすいメリットがあります。
看護師が多く所属するため、教育体制、サポート体制も整っており、復帰したばかりでも安心して仕事に取り組めるでしょう。
ただし、病棟勤務に比べると給与が低く、キャリアアップがしにくいデメリットがあります。
経済面での余裕がある方、夫婦共働きをする予定の方に向いています。
透析室
透析室はブランク明けの復帰先として人気があります。
透析室での業務は決まった時間に患者が来院し、バイタルチェック、透析の実施、生活指導など、ほぼ決まったルーチンで行われます。
他科の知識はほぼ必要がなく、透析に関連する専門的な知識を必要とする職場です。
専門性に特化しているため、ブランク明けであっても学ぶ努力さえ出来れば問題なく働くことができます。
勤務形態も早番や遅番こそあるものの、日勤のみの職場が多いことが特徴です。
子育てをしながらでも働きやすく、キャリアアップにも有利です。
努力すれば認定看護師資格を取得することも可能ですから、非常にやりがいのある職場と言えます。
復帰する前に準備・相談しておくこと

仕事から離職していた期間が長くなると、医療現場の現状がわからなくなります。
復職前に何を勉強しておけばよいのか、練習しておく技術はどのようなものか気になる方も多いでしょう。
そこで復職する前にどのような準備をするべきか、支援制度についても紹介します。
知識・技術のアップデートする
ブランク明けで復職する方は、履歴書に記載しているか、面接の段階で担当者に伝えているでしょう。
面接の際は質問事項を尋ねられるのが一般的ですから、どのような知識や技術が必要か確認してみてください。
面接官によっては採用が決まり、働き始めてからで良いと説明されることもあります。
もし必要な知識や技術についての指摘がなければ、最近の医療情報をインターネットや雑誌でインプットしておきましょう。
他にも基本的な看護技術として、看護技術の本、看護師用のアプリなどでの学習もおすすめです。
最近では新型コロナウィルスに注目が高いので、感染症対策や検査について学ぶことも大事です。
家族との相談する
復職するなら家族との相談も欠かせません。
幼い子供がいる場合、保育園に預けるのか、病院に併設した保育施設か、それとも誰かを頼るのかも決める必要があります。
仕事が始まれば家事の分担も考える必要があるため、生活がこれまでとは大きく変化するでしょう。
家族と相談してお互いにどのようにサポートしていくのか、家族に負担が偏らないよう注意してください。
ナースセンターの復職支援を利用する
各都道府県にはナースセンターが設置されており、看護師の就職・復職、看護師同士の交流などをサポートしています。
各都道府県によってサービス内容は若干異なりますが、就職・復職の相談、復職支援研修、ハローワークとの連携はどこでも行っています。
潜在看護師を掘り起こし、看護師が不足する施設への充足を目的としているため、ブランクが長い看護師が相談するにもおすすめです。
仕事の紹介はもちろん、医療や看護に関する最新情報を研修で指導してくれるため、復職するにあたって強い味方となるはずです。
現在離職中でいずれ復職を考えている方は、都道府県のナースセンターに相談してみてください。
ブランクから復職する看護師が抱える不安・質問

ブランクがあり、復帰に不安を抱える看護師の質問とそれに対する回答を紹介します。
現場から離れて長いが、復帰は出来る?
ブランクが長くても、ブランク歓迎の職場があるため大丈夫です。
ハローワークや看護師転職サイトなどで検索すると、ブランクがあっても人材を求めている病院や施設は多くあります。
復職にあたってブランクがあって不安な方は、一度気になる職場を見学してみることをおすすめします。
職場見学で実際に働いている看護師を見ることで、働いている自分の姿をイメージできるはずです。
家事・育児もあるが、両立できるのか不安
クリニック、介護施設、病院であれば外来や透析室など、勤務時間や休日の調整しやすい職場を探しましょう。
職場によってはパートタイム、特定の曜日だけの勤務で対応してくれるところも多いです。
ブランク明けという点を考慮して、しばらくはフルタイムを避け、時短勤務を検討してくれる場合もあります。
気になる求人がある場合は、担当者に連絡して相談してみることをおすすめします。
夜勤は体力的にも辛いため、日勤だけの職場を見つけたい
日勤だけでも看護師の求人は多いため、日勤のみの条件で探してみてください。
注意すべきは早番や遅番ありの職場もあることです。
また体力的に不安がある方は、「完全週休2日制」の職場を選んでみてください。
完全週休2日制の職場は必ず週2日の休みを設けており、体力に不安がある方でも安心して復職できます。
電子カルテを扱えるか不安がある
電子カルテが初めての方向けに、電子カルテの教育システムが整っている職場もあります。
大規模な病院では電子カルテを導入していることも多く、不安に感じる方も多いでしょう。
はじめのうちは戸惑うことも多いですが、慣れれば紙カルテよりも情報伝達が速く、修正も容易です。
復職前に扱いに不安があることを伝え、練習する機会をもらいましょう。
まとめ
ブランクのある看護師の復職・再就職について紹介しました。
仕事から長い間離れていると、復帰が不安になる方も多いはずです。
復職先を自分の生活スタイルに合わせて検討し、必要な準備をすることが重要です。
ハードな業務は避けたいなら慢性期病棟や介護施設、キャリアアップも目指すならクリニックや透析室も選択肢に入ります。
また復職前には新しい技術や知識を更新し、自分にできることを増やしておきましょう。
都道府県にあるナースセンターを活用すれば、今の医療の現状も知ることができるはずです。
医療・介護の分野は慢性的な人材不足に困っているため、ブランクがあっても復職は十分可能です。
本記事をぜひ参考にして、家庭と仕事を上手く両立してみてください。