2019年4月に厚生労働省によって施行された「働き方改革」では、働く人々が個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を自分で選択できるようにすると定義されています。
自由な働き方が主流になりつつある世の中で、看護師も例外ではありません。
仕事と生活の調和がとれた働き方を目指すため、看護師としての働くスタイルを見直しましょう。
そこで今回は、働き方のひとつである看護師のバイトに関して解説します。
看護師のバイトおすすめ10選

看護師の雇用形態には、主に常勤・非常勤・派遣の3種類があります。
バイトは、パートと共に非常勤看護師に該当します。
非常勤看護師とは、1週間の労働時間が40時間未満の短時間で働く看護師のことを言います。
バイトだからといって患者の心身ケアを行う重要な役割ということに変わりはありませんが、勤務時間・日数・仕事内容など選択肢の幅は大きく広がると言えます。
看護師のバイトには、どのようなものがあるのかを解説します。
病院・クリニック
求人で「週2~3日の勤務可」「1日4時間から勤務可」などの条件を提示している病院やクリニックで、バイトとして働く方法があります。
夜間勤務が体力的に困難と感じる看護師であれば日勤のみの病院を選んだり、得意な分野を扱うクリニックに勤務したりと選択肢は多くあります。
バイトであれば、実際に働いてみて自分の体力やライフスタイルと相談して勤務日数・時間を調整することが可能です。
仕事内容は以下のようなことが挙げられます。
- 診察・検査などの補助
- 採血
- 注射
- 食事・入浴・排泄の補助
- 清拭
仕事内容は、基本的には常勤の看護師と同じことが多いです。
夜間勤務
入院患者がいる病院や夜間の緊急対応がある救急病院では、夜間勤務する看護士が必要不可欠です。
しかし体力的に負担と感じたり子育て中で夜は家を空けることができなかったりする看護師も多いため、夜間勤務する看護師は不足していることも多いです。
そのため夜間勤務のみバイトを募集している病院は多く、時給は日勤と比較して高額です。
容体が安定している患者が多く仕事が比較的楽な病院や科であったり、勤務中の仮眠が可能だったりする好条件なバイトは求人が出ることが少なく競争率が高いです。
そのような求人を見つけた場合には積極的に挑戦してみましょう。
仕事内容は以下のようなことが挙げられます。
- 診察・検査などの補助
- 採血
- 注射
- 食事・排泄などの補助
- ナースコールの対応
消灯時間までは通常の業務を行い、消灯後は点滴の交換やナースコールがあった際の対応などを行います。
介護施設
デイサービス・特別養護老人ホーム・有料老人ホームなどで看護師のバイトを行う方法があります。
看護師が常駐している介護施設は多く、施設の特徴によっては夜間勤務も必要になります。
病院看護師はケガや病気に対する処置や補助が主な仕事なのに対して、介護施設の看護師は利用者が健康で安全な生活ができるようサポートしながら医療行為に当たらなければなりません。
また介護士・栄養士・ケアマネージャーなど他職種と連携しながら、家族や提携する医療機関などに対応する必要があります。
仕事内容は以下のようなことが挙げられます。
- 体温・血圧・脈拍などのバイタルチェック
- 服薬管理・服薬介助
- 食事介助
- 吸引
- 口腔ケア
利用者の健康管理や日常生活のサポートをしながら、医師の指示により吸引などの医療行為も行います。
訪問看護
療養を必要とする患者の自宅を訪問し、医療処置を行い自宅での生活をサポートします。
1日に数件の患者宅を回ることがあるので、9時から18時までなど長時間の求人も多くあります。
医師に帯同する場合もありますが、看護のみで訪問する場合も多いので人間関係に悩むことは少ないのではないでしょうか。
病院での看護とは異なり自宅看護は設備が不十分な環境で処置をしなければならないため、幅広い知識や臨機応変に対応する力が求められます。
仕事内容は以下のようなことが挙げられます。
- 問診
- 体温・血圧・脈拍などのバイタルチェック
- 口腔ケア
- 入浴介助
- リハビリ補助
また、最期を自宅で過ごしたいと希望する患者のターミナルケアを行うことも訪問看護の重要な役割です。
痛みなどの症状緩和や患者・家族の心のケアを行い、患者の最期に寄り添います。
訪問入浴
利用者の自宅へ浴槽を持参し、入浴サービスを行います。
基本的に看護師1名・介護職員2名の3名で、1日に利用者の自宅を数件回ります。
仕事内容は以下のようなことが挙げられます。
- 問診
- 体温・血圧・脈拍などのバイタルチェック
- 入浴補助
入浴前にバイタルチェックを行い、入浴の可否を判断します。
入浴介助は主に介護職員が行いますが、看護師も入浴や脱衣の補助を行うことが多いです。
健康診断
健診センターで、健康診断やさまざまな検査に関する業務や補助を行います。
健診車に乗り、会社や介護施設に出向いて業務を行う場合もあります。
集団に対して健康診断や検査を行うことが多いため、決められた時間で正確に業務を行う必要があります。
仕事内容は以下のようなことが挙げられます。
- 問診
- 採血
- 検査の補助
- 身長・体重・血圧・視力・聴力などの測定
- 健康相談
- 保健指導
特に採血は経験と技術が必要な業務で、スピードと正確さが求められます。
採血を担当すると時給が高い場合もあるため、採血が得意な看護師は特におすすめです。
ツアーナース
学校の旅行や企業の研修などに付き添い、参加者の健康管理やケガ・病気の対応に当たります。
さまざまな土地に行けるため、旅行好きな人にはおすすめのバイトです。
付き添う期間は日帰りから長期間に渡るものまでさまざまですが、基本的に業務時間は長時間になります。
旅行の内容によっては、参加者と共に体験活動に参加することもあります。
仕事内容は以下のようなことが挙げられます。
- 健康管理
- ケガ・病気への対応
- 服薬管理
付き添う看護師は一人の場合も多いので、医療器具・設備が少ない中で的確な対応とすることが求められます。
イベントナース
コンサート・フェス・スポーツ大会といったイベントの開催時に、医務室で待機しケガや病気に対応します。
イベントの雰囲気を感じることができるだけではなく、内容によっては観賞することもできるため人気のバイトです。
ケガ人や急病者がいない場合は、待機するだけで何もせずに業務が完了となります。
仕事内容は以下のようなことが挙げられます。
- ケガ・病気への対応
開催されるイベントの内容や時期などによって、対応しなければならないケガや病気はさまざまです。
また救急搬送が必要かなどを診断する必要があり、知識や判断能力が求められます。
予防接種・ワクチン
予防接種やワクチンの集団接種で、看護師のバイトとして働く方法があります。
インフルエンザの予防接種の場合は、冬期に集中してバイトの看護師が募集されます。
勤務時間の融通が利きやすく、時給が高いので人気のバイトです。
仕事内容は以下のようなことが挙げられます。
- 問診
- 予防接種
集団接種の人数が多いと、的確に効率よく予防接種を行う必要があります。
保育園
保育園では、園児の人数に対して配置しなければならない保育士の人数が決められています。
保育園での医療に対するニーズから、看護師は保育士としてみなすことができます。
そのことから医療知識を持った専門家として、保育園で子供たちの健康や成長を見守ることができるバイトです。
保育園がお休みの日曜・祝日などは休むことができ、夜勤や残業はありません。
仕事内容は以下のようなことが挙げられます。
- ケガ・病気への対応
- 健康診断などの補助
- 保護者への健康指導
- 保育の補助
園児の病気やケガに対応するので、子供への接し方は重要です。
インフルエンザやノロウイルスなどの感染症予防のため、園内の衛生管理も行います。
保護者への健康指導も看護師の大切な仕事なので、小児疾患やアレルギーなど子供に関する知識が必要になります。
看護師がバイトとして働くメリット3つ

看護師がバイトとして働く上で、どのようなメリットがあるのかを解説します。
時給が高い
看護師のバイトは、一般的なバイトと比較して高時給です。
時給が高いのは患者の命を預かる大切な仕事なので当然なのですが、大きなメリットと言えるでしょう。
勤務先や勤務日数の自由度が高い
看護師の勤務先は多くあり、ライフスタイル・自分の好きなことや得意なことに合わせて選択することができます。
これほど多くの場所で必要とされているのは、やはり社会での看護師という仕事の重要度の表れと言えるでしょう。
また勤務日数・勤務時間の融通が利くのは、バイトで働いているからこそのメリットです。
「週3日だけ」「週末だけ」「午前中だけ」といった常勤では難しい働き方が、バイトでは可能です。
プライベートの時間を確保できる
勤務日数・勤務時間が少ないと、給与はおのずと少なくなります。
しかし、高時給の看護師のバイトであれば少ない日数・時間でも高収入が期待できるので、自由な時間が増えプライベートを充実させることができます。
プライベートの時間で資格取得や看護の勉強をして、いずれ常勤に復帰した際にキャリアアップを目指すこともできます。
休みの日を趣味の時間にあてればストレス発散にもなり、働く活力にもなるのではないでしょうか。
看護師のバイトはこんな人に向いている

看護師がバイトとして働くにはたくさんのメリットがあり、働く場所の選択肢が多いことがわかります。
ただし、働き方はその人の考え方やライフスタイルによって大きく変わります。
今の生活やこれからの人生を考えたときに、バイトという働き方が自分に合っているのかを考え選択しましょう。
看護師のバイトに向いているのはどのような人なのかを解説します。
転職を考えている人
転職を考えている人には、バイトとして看護師の仕事をすることをおすすめします。
一度退職をすると、次は自分に合った好条件の職場で働きたいなどと考えるのではないでしょうか。
しかし、求人票や面接だけでは仕事内容や人間関係などをなかなか深く知ることはできません。
そこで、まずバイトとして働きながら自分に合った職場や働き方を模索するという方法があります。
もし人間関係などに問題がない場合は、職場の状況次第ではありますが常勤として働くことも視野に入れて考えることができます。
子育て中の人
妊娠・出産を機に仕事を辞める人は多いのではないでしょうか。
出産して子育てをしていく中で「家族が休みで子供をみてくれる時間だけでも働きたい」「子供が学校に行っている間は時間に余裕がある」などと思うこともあるでしょう。
そのような場合はバイトとして働くことをおすすめします。
バイトであれば家族のお休みや子供の予定に合わせて働くことができます。
周囲にサポートが必要になりますが、育児から離れて社会とのつながりを持つことは息抜きにもなるのではないでしょうか。
復職したい人
看護師の仕事から離れていたけれど、もう一度看護師として働きたいと思う人は多いでしょう。
しかし看護師は責任重大な仕事であるだけに、知識・技術・体力などの面で不安に感じて働くことを躊躇することもあるのではないでしょうか。
バイトという働き方であれば短時間から働くことができ、徐々に働いていた感覚を取り戻すことが可能です。
また、全体を管轄する役職などは常勤で長く勤務している看護師に任せることが多いため、任されることは少ないでしょう。
復職後は気負わずに自分のペースで働きたい方におすすめです。
人間関係を構築するのが苦手な人
退職・離職の原因に、職場の人間関係がうまくいかなかったという場合が多くあります。
また人間関係を構築するのが苦手な人にとっては、多くの医師や看護師と働く職場はストレスが溜まるのではないでしょうか。
バイトであれば常勤と比較して医師や看護師と顔を合わせることも少ないため、人間関係がそれほど負担にならないと考えられます。
また、訪問看護やイベントナースなど配置される看護士が一人の場合が多いバイトを選択するのもおすすめです。
まとめ
看護師の資格を活かしてバイトができる環境は非常に多く充実しています。
その中でそれぞれの特徴を踏まえて、自分の適性やライフスタイルに合ったものを選びましょう。
また現在の看護師としての働き方に不満がある場合は、バイトとして働くことも視野に入れより自分らしく活躍できる場所を探してみてください。